【DDON】リク小説『春一番に混ざったナイトメア』

 

お久しぶりドドン記事です! アリスです!

去年12月にサ終を迎えたドドンですが、アリスのTL上ではまだゲームのSSが流れてきたり、ゲーム愛を叫んでいる人がいたりして、冷めない熱を感じるドドン
そんな中、クラメンいるるさんからふいに届いたDMというお手紙。中身は…

こ、これは…!! アリスちゃん!?( ゚Д゚)

これはおそらく、みんなでSSを撮ろう! となったときにアリスが着ていたこちら ↓

この青くてドレッシ~なアリスをドット絵風に描いてくれたやつ~!
絵の描けないアリスにはとても嬉しい&ありがたい絵!! ありがとういるるさん!

しかしもらいっぱなしはよくない…お礼をしたい…と思い、アリスの特技である小説でのお返しを提案したところ、『アリスちゃん視点でのメインクエストとか!』といただいたので、それを! 書きます!!

ゲームが終了してしまい、ゲームプレイで確かな情報が得られないので、細かい部分などちょっと間違ってるかもしれませんがご容赦ください💦

お話のイメージはシーズン1が終わってディアマンテス、ゴルゴランとの戦いに決着がつき、シーズン2に入るぜ! ってあたりです!

 

※ このブログとは違うブログで我がクラン『Zyklus(ツィクルス)』を舞台とした話を書いていましたが、そちらを知らなくても読めるようになっています

 


春一番に混ざったナイトメア

 

 チュン、チュン。
 青い空と白い雲の下で鳴く平和な鳥の声を聞きながら、そろりと病室のドアの前に立ってみる。
 …ここまで来たのに手が伸びない。
 怖い、わけではないし、苦手、なわけでもない。ただ…そう。気後れ、ってやつだと思う。
 この部屋には、ディアマンテス。そしてゴルゴランとの戦いで最前線に立って大怪我をして、一度は本当に死んでしまったセルヴァさんが入院している。
 セルヴァさんは、頼りになる人で、初めてクランのマスターになる私をいつも手助けしてくれた。
 あの人はたいていのことは何でも一人でできてしまって…。たぶん、だから、全部一人で片付けようと頑張りすぎてしまったのだと思う。

「…主?」

 斜め後ろに控えるようにして立っている私のポーンの一人、ニコラシカ…略してニコちゃんが無表情の顔に若干眉根を寄せている。「見舞いなら、扉を開けなくては。ここにいても始まらない」ニコちゃんの言うとおり。「う、うん。うん…」生唾を飲み下して、いざ、病室の木製の扉ノブに手をかけて、押し開ける。
 ここに来るまで、いろいろな心配をしていた。
 一度は覚者であることをやめて、満足して肉体と魂を分離させたセルヴァさんが、うまく復帰できなかったら。大怪我が治っていなかったら。
 そうでなくても、もしかしたら、私には、会いたくないかもしれない。
 セルヴァさんは一度満足したのだ。黄金の都、メルゴダを堕落と破壊に導いたディアマンテスを討ち、かつては人で、王で、父親だった黄金の竜と対峙して、終止符を打った。長い間、責任感から鞭打つように生きてきた彼は、やるべきことをやり遂げた。だから、もういいだろう、と満足した。満足して倒れた。

 

『しなないで、セルヴァさん』

 

 もしかしたら、私は、余計なことを言ったんじゃないだろうか?
 あのまま静かにセルヴァさんを見送るのが、本当はよかったんじゃないか?
 そんなことをずっと考えていて、重い足でようやくお見舞いに来た私。
 覚悟して開けた扉の向こうは、明るかった。窓が開け放たれていて、窓辺には小鳥の姿。
 光に霞む世界の中で、セルヴァさんはベッドで本を読んでいた。片腕がちぎれそうなほどの怪我をしていたけど、治っている、ように見える。
 セルヴァさんは本から顔を上げ、相手がりんごのカゴを持った私であることに気付くと、変わらない笑顔を浮かべてくれた。…ディアマンテス、ゴルゴランと戦う前の、あの頃と変わらない微笑みだ。

「やぁ。アリス」
「お加減、いかがですか?」
「好調だよ。怪我も治ったし、肉体と魂の乖離も見られないから、もう何日かすれば退院できると言われてる」

 …よかった、と思う。ああ、よかった。
 私が心配していた最悪のことは何も起こらなかった。
 セルヴァさんは本を閉じると、「ただ」とこぼして天井に目を向けた。「一度はすべてに満足してしまったせいか、ポーンとの接続ができなくて。…私が満足したことで、彼らも満足してしまったのかもしれないね」困ったね、というふうに笑うから、私は傍らのニコちゃんを見上げた。「そういうもの?」「…ポーンは曖昧な存在である故。主人の意向には限りなく沿うかと推測される」固い言葉だけど、そういうことらしい。

 私は、まだ病み上がりのセルヴァさんの時間をそうは取るまいと決めていた。
 きちんと顔を見れたし、彼は大丈夫だともわかった。早々とになるけど、お暇しよう。
 私は私で、クランのこともある。最近はセルヴァさんのことが気になって仕事中も気もそぞろになってた。ディアマンテスやゴルゴランとのことに決着がついたとしても、白竜が完全に回復する手助けを、クランとして続けていかなくちゃ。

 

 


 

 

 右に三歩。左に三歩。
 また右に三歩。また左に三歩。
 僕がそわそわしているせいか、シエニくんも若干そわそわと落ち着かなげです。
 我がクランのサブマスターとして馴染み深い、実は壮大な過去があったセルヴァ氏のお見舞いに行ったマスターたるアリスさんを待っていると…出てきました。アリスさんと、ポーンのニコラシカくんです。
 僕は落ち着かない足取りのまま彼女に駆け寄ります。

「お見舞い、どうでしたか?」
「元気そうだった。もう少しで退院できるって」
「そうですかぁ…よかった」

 マスターの表情を見るに、お見舞いの内容も、きっと良いものだったのでしょう。いやぁ、良かった。ほっとしました。
 マスター、最近はセルヴァさんのことが気がかりでクランのお仕事にも身が入ってないようでした。それで大きな失敗があったわけではありませんが、小さな怪我とか、小さなミスとかはあったので…これで今からのお仕事はきっと大丈夫でしょう。
 僕はポケットに忍ばせていた依頼書を取り出します。僕と、マスター、二人と二人のポーン、四人でできそうなお仕事を見繕ってきました。「あの、これ、取ってきました」「ありがとうイルルさん。えーと…」「ブリア海岸のお掃除です。魔物を含めた」クランとしても、覚者としても、ここまで様々な冒険をしてきた僕らにはお安い御用な仕事です。
 マスターは少し考えるように首を傾けて、ポーンの一人である女性を呼びました。女性の外見なのですが、行動と言葉遣いは男らしい女性です。彼女は欠伸をこぼしながら舌打ちしています。

「なんだよ、寝てたのに」
「ごめんねカナン。ちょっと頼み事。今からブリアに仕事に行くから、ってクラン掲示板に書いておいてほしくて。私と、イルルさんね」
「へいへい。それだけか?」
「うん」
「はいよ。気ィつけて行けよー」

 カナン、というらしいポーンはふわぁと大口で欠伸をしながら消えてしまいました。
 我らがクランZyklusは、その活動が認められ、最近クランの拠点をいただきました。そこの掲示板に留守にすることを知らせるよう、ポーンを遣わしたようです。
 では、改めて。
 僕はしっかりと補給しておいた食料と水の入った袋を掲げ、「では、行きましょう!」とはりきって歩き出します。
 このお仕事は、僕が自分の成長をマスターに伝えるためでもあり、マスターの気分転換を兼ねてもいるのです。
 海は良いものです。引いては寄せる波はいつまでも見ていられます。
 たまにはゆっくり、海でも見ながら仕事をしましょう。

 

 僕らは神殿からローテスへリム転移し(リム転移! いまだに慣れない!)、浜辺を飛び回るハーピーやゴブリン系の魔物を問題なく掃除していきました。
 かつてはルフローという村だった場所では、骨となったかつての住人…と思われる人骨の魔物を葬り、これでお仕事はおしまいだな、と思いました。

(ちょっとゆっくり、海岸沿いを歩きながら、貝殻でも拾おうと提案しようかな?)

 そんなときでした。頭上の空に黒い暗雲が立ち込め、雷の音が轟いたのは。

「か、雷…っ」

 シエニくんが手にしている大盾をパッと手放しました。
 確かに、金属製のそれに雷でも落ちたら大変です。感電してしまいます。
 そう高い盾でもないので、このさい、捨て置きましょう。安全第一です。
 理想的な背丈の関係で、ニコラシカくんのマントの中に匿われているマスターは、廃村の一角をさしました。「あそこ、地下倉庫だったよね」「ええ…」廃村にある倉庫なんていかにも何か出そうで、あまり入りたくはないけれど、このさい、贅沢は言っていられません。今や雨風は嵐のような激しさで、雷の音も増すばかり。急いで避難しなくては。
 僕らは地下倉庫に逃げ込みました。
 がらんどうの地下空間、というのは、空寒い感じがします。
 僕が外套を脱いで水を絞っていると、シエニくんがおずおずと寄ってきて、とても申し訳なさそうな顔で「か、覚者様。申し訳ありません…盾が……」「高いものじゃないし、気にしなくていいよ。安全第一」僕はシエニくんの申し訳なさそうな顔の目じりをグイッと引き上げて言い聞かせます。
 そう、安全第一。お金で盾は買えても、お金で健康も生死も買えないのだから。
 いつでも冷静沈着、しっかりしている、という印象のあるニコラシカくんは、マスターに代わり地下空間をすみずみまで見て回ったようで、暗闇から戻ってくると「敵影なし」と安心できる報告をくれました。
 その間もずっと、地上からこの地下に、水がぼたぼたと落ちてきています。
 地上へ続くはしごから距離を取りながら「すごい雨だ」思わずぼやいてしまった僕に、マスターが頷きます。「こんな雨、初めてかも」「はい。僕も、憶えがないです。自然の猛威、ですね」「でも…」マスターは考え込むように暗い天井を見上げた。「白竜様は、昔より元気になっているのに、こんなに天候が安定しないなんて…ありえるかな?」そう言われると、そんな気もしてきます。
 我らが覚者が守護すべき白竜様が元気になってきているのなら(少なくとも昔よりは)、天候だって安定してよいのでは…?

 

 雨風が静まるまで、長い、長い時間がかかりました。
 僕らは冷えた体をあたためるために焚火を起こし、濡れた服を乾かし、持ってきた食料と水で小腹を満たしました。
 リム転移で神殿に戻るという方法もありましたが、この嵐です。地上には何かしらの被害が出ているかもしれない。ならば、それを確認してから戻ろう、というわけです。
 雨脚が弱まってきた頃……僕らはようやく地下から地上へと出ました。

「た、盾…盾……ああ、ありません」

 ものすごい雨風のせいか、シエニくんが落とした盾はもとの場所にはありませんでした。がっくりと肩を落とした彼をぽんぽんと叩きます。「新しいのを買おう、シエニくん」「はい…。申し訳ありません……」しょんぼりと小さくなったシエニくんを連れ、僕はマスターについて来た道を戻りました。倒れた木や砂浜に流れついた倒木などをチェックしながら、人が巻き込まれていないかどうか、目を光らせます。
 やがて、ローテスまでもうすぐだ、というところで、マスターが海岸を指さしました。

「あれ、なんだろう」

 その指がさすものは……うん? あれはなんだろう?
 僕も首を捻ります。「なんでしょう。魔物…でも、見たことがないかも…?」「ちょっと行ってみよう」マスターがサクサクと砂浜を蹴飛ばしていきます。ニコラシカくんはちょっと渋面になっていますね。「主、危険かもしれない。熟考を推奨する」「確認するだけだよ」「主」渋面の色をさらに濃くしたニコラシカくんは、せめて主より先を歩こうと大股で歩いていきます。そしてそれに追いつこうと小走りになるマスター。ちょっと微笑ましい光景です。
 果たして、砂浜に倒れていたのは……「サイクロプス、ですか?」サイクロプスにしてはちょっと、なんだか細部が違う気がするし、極めつけは背中や頭に生えている、棘? のようなものの存在。それに体中苔むしています。普通のサイクロプスならありえません。それに……このサイクロプス(仮)を中心に、何か、鱗粉のような、花粉のようなものが、舞っていないだろうか…?
 僕は念のため、ポケットのスカーフで口と鼻を覆いました。僕を見てシエニくんも真似をします。

「マスター」
「あ、うん。そうだね」

 マスターも舞う粉の存在に気が付き、ニコラシカくんが素早く彼女の口と鼻を自らのマフラーを巻き付けることでセーブしました。彼自身はマントを押し当てることで妥協したようです。
 どうやら、サイクロプスは事切れているようで、動く気配はありません。
 シエニくんが恐る恐るという顔で僕の後ろからサイクロプスっぽいものを覗き込みます。「見たことがない顔、していませんか…?」苔やら棘やらでわかりにくいけど、僕もそう思っていました。これはもしかしたらサイクロプスに似て非なる魔物かも。大変だ、スケッチしておかないと。
 僕が小さな手帳を取り出し鉛筆を走らせている間、マスターは辺りをウロウロして、一人の女性を発見しました。「イルルさんっ」「はい!」慌てて手帳を閉じて鞄に押し込み、マスターのもとへ走ります。
 その女性はかなりの軽装で、そして、見たことのないファッションをしていました。キレイな紫色の衣装。角のようにも見える髪飾り。ああ、スケッチの手がうずく…。

「息はあるみたい」
「この辺りの人、では、なさそうですね。荒れた海で流されてきてしまったとか…?」
「そうかもしれないね。とにかく、ローテスに運ぼう」

 マスターの提案に頷き、二人で彼女を起こそうとしたときでした。
 突然、女性が光り始めたのです。本当に、文字通り。そしてなぜか独りでに浮かび上がるではありませんか!
 マスターがポカンとしています。
 僕もポカンとしてしまいます。
 シエニくんは予想外の展開に慌てていて、ニコラシカくんは何が起こってもいいようマスターの前に立って彼女を庇って…。

 

 そして、僕らは光に呑み込まれました。

 

 気が付いたときには、僕らは知らない場所にいました。ブリア海岸ではなく、硬い地面の、どこか腐臭のする草木のもとで倒れていました。
 その場所は、空が赤く光っていて、飛び交うハーピーはみんな何かが生えていました。そう、棘です。海岸で見た魔物にも棘がありました。
 僕は慌ててシエニくんの無事を確認しました。大盾はないままですが、怪我はなさそうです。マスターは…ニコラシカくんに抱き起されたところでした。彼女にも怪我はなさそうです。

(まさか。まさか、こんなことになるなんて)

 ちょっと気分転換に、ブリア海岸のお仕事を引き受けたつもりだったのに!
 僕は一通り自分の行いを悔いたあと、拳を握って立ち上がります。
 ここがどこなのかはわかりません。怖いです。新人覚者から脱したとは言っても、僕はまだ全然、先輩方には遠く及ばない、ただの覚者です。
 でも、ここにはマスターと、ニコラシカくんと、僕と、シエニくんだけ。
 僕らは力を合わせて周囲を探索、状況を理解し、神殿へと帰還しなければ……!

 

 


 

 

だらだら長くなってしまいましたが、そんな感じで、シーズン1の終わりからシーズン2開始くらいの物語を書いてみました!
ゲームができないのでちょっと細部がぼんやりしていますが、なんとなくイメージして読んでもらえると幸いです…( ˘ω˘ )

ああ~資料撮りにINしたい\(^o^)/ もうINできないんだけど\(^o^)/
近いうちにグリフィンの郵便屋さんも更新できればいいな!(希望系

いるるさん、ステキドット絵ありがとうございました! お返しが気に入ってもらえるといいな…!

 

では、本日は以上です。アリスでした!

 

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